ネット上の簡易レシピには「油を一切使わなくても完璧な天ぷらになる」と謳うものがありますが、これは調理科学の観点からは明らかな誤解です。
天ぷら特有のコクと香ばしさは、衣のデンプンと油が高温で反応するメイラード反応によって生まれます。完全なノンオイル(油分ゼロ)で加熱した場合、天ぷらではなく「乾いたお好み焼きの衣」のような硬くパサついた仕上がりになってしまいます。揚げない天ぷらの本質は「油をゼロにすること」ではなく、「必要最小限の良質な油(大さじ1程度またはマヨネーズ中の油脂)を効率的に表面に行き渡らせること」です。
また、ちくわ自体に塩分と旨味成分(グルタミン酸やイノシン酸)が豊富に含まれているため、衣に過剰な塩分や醤油を加える必要はありません。下味をつけすぎると浸透圧でちくわから水分が抜け出し、かえって衣が湿気る原因となるため注意が必要です。