須川高原温泉が一年で最も華やぎ、そして最も混雑を極めるのが秋の行楽シーズンです。栗駒山は全山が赤、橙、黄に染まり上がり、山岳愛好家の間では「神の絨毯(じゅうたん)」と称賛されています。ナナカマドやミネカエデ、ブナが織りなすパッチワークのような色彩美は、日本三大紅葉とも謳われるほどの美しさを誇ります。
紅葉の見頃は例年9月下旬から10月上旬にかけてがピークとなります。山頂部から色づきが始まり、10月中旬には須川高原温泉周辺まで紅葉の前線が降りてきます。この時期の週末は、国道342号線の岩手側・秋田側双方で早朝から大渋滞が発生し、登山口駐車場が午前5時台に満車となることも珍しくありません。
温泉旅館の真裏からは栗駒山登山の主要ルートの一つである「須川コース」が整備されています。登山口から山頂(標高1,626m)までは標準コースタイムで片道約2時間半から3時間。途中、エメラルドグリーンの水をたたえた名所「昭和湖」や、地熱を感じる噴気孔地帯を通過するバリエーション豊かな登山道です。ただし、昭和湖周辺は火山ガス(硫化水素等)の濃度上昇に伴い、一時的に迂回路が設定されたり通行規制が敷かれたりする経緯があります。登山を計画する際は、気象庁の火山情報および自治体の最新登山道規制情報を必ず照合してください。
下山後、汗と疲労にまみれた身体をそのまま須川高原温泉の強酸性泉に沈める体験は、ハイカーにとって至高の報酬と言えます。筋肉の疲労物質を分解するかのような湯上がりの爽快感は、登山口と名湯が直結している須川ならではの贅沢です。