天沢聖司を語る上で欠かせないのが、声優を務めた高橋一生さんの存在です。いまや日本を代表する実力派トップ俳優として知られる高橋さんですが、本作の声を担当したのは当時わずか14歳の中学3年生のときでした。まさに役柄である聖司と同い年の少年だったのです。
このキャスティングには、まさに奇跡と呼ぶべき逸話が残されています。高橋さんは当時、声変わりの過渡期に差し掛かっており、劇中の収録を終えたわずか2週間後には完全に大人の声へと変声してしまったといいます。もしオーディションや制作スケジュールが少しでも後ろにずれていれば、あの透明感と少年特有の瑞々しさを併せ持つ「天沢聖司の声」は生まれていませんでした。思春期の一瞬の輝きがフィルムに永遠に焼き付けられた、奇跡的なキャスティングだったのです。