ネット上の一部では「秋田はまだ公立高校が甲子園に行きやすい地域」という言説がまことしやかに語られることがある。しかし、これは明らかな誤解である。
第1の盲点は、少子化と過疎化による競技人口の急減だ。秋田県内の高校生年代の人口減少は全国でもトップクラスのスピードで進行しており、部員不足に悩む学校同士の「合同チーム」結成が常態化している。かつてのように県内各地に満遍なく好選手が分散する時代は終わり、強豪校への一極集中が加速している。
第2の盲点は、室内練習環境の格差である。雪国特有の長い冬をどう過ごすかが勝敗を分ける秋田において、フルサイズの室内練習場や測定機器を保有する学校と、体育館の片隅やビニールハウスで練習を余儀なくされる学校との間には、春先の実戦感覚において埋めがたい格差が生じている。
「公立の粘り」という美しいフレーズの裏には、指導者の献身的な工夫と選手の血のにじむような努力がある。もはや精神論だけで私立強豪や全国レベルの壁を突破することは不可能であり、科学的トレーニングの導入や外部コーチの招聘といった組織的な改革を行っている学校だけが生き残る時代へと完全にシフトした。