地域の本当の豊かさや個人の稼ぐ力を測る指標として、経済学者が最も重視するのが「一人当たり県民所得」です。これは県民総所得を総人口で割ったものであり、企業の留保利益や配当なども配分された地域住民の実質的な経済水準を反映します。この指標で全国を再編すると、名目GDPランキングの序列は劇的な崩壊を見せます。
この対比が明かす極めて重要なファクトは、「総生産が大きい地域=住んでいる人が全員豊かな地域」ではないという点です。埼玉県や千葉県、神奈川県などの首都圏ベッドタウンは、人口が多いため県内総生産の総額では上位にランクインします。しかし、現役世代の多くが東京都内に通勤し、都内のオフィスで付加価値を生み出すため、県内にとどまる生産額は人口比で薄まります。結果として、一人当たり所得の順位は中位付近まで急降下します。
反対に、静岡県、三重県、茨城県、福井県といった地域は、総生産ランキングでは10位から20位前後に位置するものの、一人当たり所得では常にトップ10に食い込んできます。その背景には、高付加価値を生み出す製造業(電子精密機器、化学、医療品、特殊素材)の生産現場が県内に根付き、強固なサプライチェーンと安定した雇用を生み出している「都道府県産業構造一覧」の差異が存在しています。