佐渡の取り組みは今や、国際自然保護連合(IUCN)をはじめとする世界の環境保全関係者から熱い視線を浴びている。絶滅危惧種を地域社会の経済活動とリンクさせながら再生させた極めて稀有な成功モデルだからだ。象徴的なのが「朱鷺と暮らす郷」に代表される、減農薬・無農薬の米作りである。
田んぼに江(深み)を掘り、冬期湛水を行うことで、トキのエサ場となる水生生物を育む。この農法から生まれた米はブランド化され、市場で高値で取引されるようになった。トキを守ることが農家の収入につながり、島全体の「生物多様性保全産業」として結実している。単なる動物愛護にとどまらない強固な社会システムがここにある。