映画界の生ける伝説、スティーヴン・スピルバーグの新作動向からも目が離せない。彼が手掛けるプロジェクトは常に、映画とは何か、物語を語り継ぐとはどういうことかという原点への回帰を提示してくれる。光と影の巧みな操縦、息を呑むカメラワーク、そして感情を揺さぶる音楽との調和。その卓越したクラフトマンシップは、今なお後進のクリエイターたちに鮮烈なインスピレーションを与え続けている。
巨匠が描くのは、激動の時代に翻弄されながらも希望を失わない市井の人々の姿だ。観客席のあちこちから啜り泣きが漏れ聞こえるシアターの連帯感こそ、シネマが持つ魔法の正体に他ならない。