医学的な側面から見ると、この疾患は「15番染色体(15q11-q13領域)」の父親由来遺伝子の働きが欠失・抑制されることで発症する先天性のゲノム刷り込み疾患です。出生頻度はおよそ1万〜1万5,000人に1人とされています。
その症状の経過には、年齢に応じたはっきりとした二面性がある点が大きな特徴です。
- 新生児期・乳児期:全身の筋肉の張りが弱い「筋緊張低下(フロッピーインファント)」が見られ、泣き声が小さく、母乳を吸う力が弱いため体重が増えにくい「哺乳障害」が目立ちます。
- 幼児期以降:2〜3歳を境に食欲の中枢を司る視床下部の機能異常が顕著化し、満腹感を得られないことによる激しい過食が始まります。放置すると重度の肥満や糖尿病、呼吸障害を併発します。
- その他の特徴:低身長、性腺機能不全、軽度から中等度の知的発達症、感情のコントロールが難しく癇癪を起こしやすい傾向などがあります。
特に食への執着は本人の意志の強さだけで制御できるものではなく、脳の神経伝達システムの構造的な異常に起因しています。