境内に足を踏み入れてまず目を奪われるのが、その規格外の建築美と建造物の大きさです。なかでも奥之院のシンボルといえるのが、世界最大級の大きさを誇る大梵鐘「飛龍の鐘(ひりゅうのかね)」です。
高さ約4.55メートル、口径約2.88メートル、総重量は実に37.5トン。毎日午前11時50分には、僧侶の手によってこの巨大な鐘が撞かれます。山あいに響き渡るその重厚で澄んだ残響は、およそ数キロ四方にまで広がり、聴く者の魂を浄化するかのような深い響きを持っています。鳴り渡る鐘の音に合わせて合掌し、静かに目を閉じるひとときは、訪れた者だけが体験できる特別な瞬間です。
さらに注目すべきは、純木造で建てられた壮麗な五重塔です。通常、仏塔の内部は一般非公開であることが多い中、奥之院では内部に入って上層階へと参拝できる五重塔の登閣が許可されています。最上層からは、有明海や遠く雲仙岳までを一望する大パノラマが広がり、まさに圧巻の一言。自然と祈りが一体化する体験がここにあります。