日常会話からビジネス文書まで、誰もが頻繁に使う単語だからこそ曖昧にされがちですが、「グッズ」と「グッツ」のどちらが正しいかという問いに対する答えは「グッズ」一択です。「広辞苑 第七版」や「大辞林 第四版」をはじめとする日本を代表する主要国語辞典を引いても、「グッズ」という見出し語は掲載されていても「グッツ」という項目は一切存在しません。
この違いを理解する最大の鍵は、原語である英語の成り立ちにあります。グッズの語源は英語の名詞「goods」です。形容詞「good(良い)」に複数形の「s」が付いた構造を持っており、中世英語の時代から「財産」「商品」「動産」を意味する集合名詞として発展してきました。音声学上の発音記号を確認すると/ɡʊdz/と表記されます。
語末の「ds」は、舌先を歯茎に当てた破裂音「d」と摩擦音「s」が連続する有声破擦音であり、明確に濁った「ズ」の音を発します。英語の音韻法則上、直前の音「d」が有声音(声帯を振動させる音)であるため、続く「s」も引っ張られて有声音の「z(ズ)」として発音されるのが絶対的な規則です。したがって、無声音の「ツ(/ts/)」と表記することは、原音の再現性という観点からも完全に誤りであると証明されます。
さらに、文化庁が告示している「外来語の表記」の基本方針においても、英語の語末にある「-ds」は原則として「ズ」と転写することが定められています。つまり、言語学的な語源からも、国の公的な外来語処理ルールからも、「グッツ」と書く根拠はどこにも存在しないのです。