絵本やアニメではマイルドに描かれがちな本作ですが、アンデルセン童話の原作を紐解くと、極めてシビアで命の危険に満ちたサバイバルホラーに近い一面を持っています。
例えば、農場を逃げ出した主人公が身を隠した大沼では、野生のガンの若鳥たちと出会います。彼らは主人公の不恰好さを面白がりながらも仲間として受け入れようとしますが、その直後、猟師たちの銃声が響き渡り、目の前でガンたちが次々と撃ち落とされて水面を血に染めます。主人公のすぐそばにも猟犬が迫り、主人公のあまりの醜さに毒気を抜かれたのか見逃されるという、生々しい死の恐怖が描かれています。
また、真冬の寒さの中で水面が凍りつき、氷の中に閉じ込められて動けなくなるシーンなど、自然界の容赦ない掟と孤独がリアルに描写されています。子供向けの単なるサクセスストーリーではなく、「理不尽な世界でいかに生き抜くか」という切実な現実が底流に流れている点が、原作の持つ凄みです。