雨穴の名を全国区へと押し上げた『変な家』ですが、その原点は2020年10月にオモコロの特集記事として公開された「【不動産ミステリー】変な家」にあります。知人の設計士から持ち込まれた「一見すると普通だが、よく見ると構造がおかしい間取り図」を手がかりに、家の隠された恐ろしい間取りの意図を推理していく対話形式のテキスト記事でした。
この記事が画期的だったのは、テキスト記事の公開とほぼ同時に、自身の公式YouTubeチャンネルへ動画版を投下した点です。文字でじっくりと間取り図を観察させるオモコロのプラットフォーム特性と、音声・アニメーションで生理的な恐怖を煽るYouTubeオモコロ連携の相乗効果により、SNS上で爆発的なバイラル現象を巻き起こしました。
さらに、単行本化に際しては単なる記事の書籍化にとどまらず、物語の背景に潜む因習や人間ドラマを大幅に加筆。続く第2弾『変な絵』においても、複数の不気味な絵画に隠された暗号がひとつの悲劇へ収斂していく緻密な構成が高く評価され、ミステリーランキングを席巻しました。オモコロというWebカルチャーの実験場があったからこそ、固定観念にとらわれない新しいホラーエンターテインメントが誕生したのです。