福士蒼汰のキャリア初期を振り返ると、NHK連続テレビ小説『あまちゃん』の種市先輩役や『仮面ライダーフォーゼ』の熱血主人公など、爽快なビジュアルが先行していたことは否定できません。当時はネット上でも「台詞回しが平坦」「どの役を演じても福士蒼汰に見える」といった手厳しい声が散見されました。
しかし、本人はその評価に安住することなく、極めて計画的かつ泥臭い鍛錬を重ねていました。特番インタビューや当時の現場取材で本人が明かしたところによると、ブレイクの最中にあっても「消費されることへの危機感」を常に抱いていたといいます。その焦燥感を打破するために彼が選んだのが、言語の壁を越えた表現への挑戦でした。
特に英検2級を高校時代に取得していた下地に加え、多忙なスケジュールの合間を縫ってネイティブのコーチと連日オンライン英会話を重ね、発音矯正を徹底。その実を結んだのが、多国籍キャストが結集した国際連続ドラマ『THE HEAD』Season2へのメインキャスト抜擢でした。単に「英語が喋れる日本人俳優」という枠に留まらず、孤立した船上という極限状況下で、心理的追い詰められ感を堂々たる英語のニュアンスで演じきった姿は、世界各国のメディアからも高く評価されました。海外の映画監督や共演者と臆することなくディスカッションを重ねる現場での姿勢は、国内の撮影現場にも還元され、台本の行間を自ら構築する主体的な演技スタイルへと昇華されています。