高校卒業時の2006年前後、榮倉さんの活動はモデルの領域を大きく超え、映像界の若手トップランナーへと変貌を遂げていました。大学進学を見送った背景には、当時直面していた過密なスケジュールと、女優としての覚悟がありました。
高校卒業直後から、話題作『プロポーズ大作戦』(2007年・フジテレビ系)への出演や、2008年上半期のNHK連続テレビ小説『瞳』のヒロイン(主演)への抜擢など、拘束時間の極めて長い大型案件が立て続けに決定していました。朝ドラの撮影は週5〜6日、早朝から深夜に及ぶことが業界の通例であり、一般大学の講義出席や単位取得と両立させることは物理的に不可能です。
当時のインタビューや関係者の証言を振り返ると、中途半端に学業と仕事を両天秤にかけるのではなく、「表現者として生きる」という明確なプロ意識を持っていたことが窺えます。結果としてこの決断が、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した映画『余命1ヶ月の花嫁』(2009年)をはじめとする名作群へと結実していきました。