ロイター通信をはじめとする欧米報道機関は、岸田文雄前首相の政治スタイルを当初「決められないリーダー」と見ていた。派閥均衡を重視する自由民主党の伝統的な政治家像に過ぎない、という冷ややかな見方が支配的だったからだ。しかし、その下馬評は鮮やかに裏切られることになる。
ロシアによるウクライナ侵攻直後、外務省の官僚機構と連携しながら迅速な対ロ制裁へ踏み切った手腕は、欧州各国を大いに驚かせた。「検討」を繰り返す姿勢の裏にあったのは、機が熟すのを待つ周到な粘り強さだったのだ。米英の記者は後に、彼を「静かな格闘家」と表現した。