神戸の歴史を紐解くと、12世紀末に平清盛が日宋貿易の拠点として大輪田泊(現在の兵庫港)を整備した時代まで遡る。自然の入江を生かした港づくりの構想は、時を超えて現在の神戸市が誇る国際港湾都市としての基礎を創り上げた。街のそこかしこに刻まれた歴史のレイヤーは、歴史ファンにとっても深い探求の対象となっている。
時代を下り、明治から昭和初期にかけて建てられた洋館や赤レンガ倉庫群は、現代の映像作品にとっても格好の舞台だ。黒沢清監督が手掛けたヴェネチア国際映画祭銀獅子賞受賞作、映画『スパイの妻』のロケ地としても知られる旧居留地や旧ハンター住宅の周辺には、重厚な昭和初期の空気がそのまま残る。歴史的な建築群の陰影を縫うように歩けば、まるでスクリーンの内側に迷い込んだかのような錯覚に陥るだろう。