意識を取り戻した佳那を待っていたのは、過酷を極めるリハビリの日々だった。自力で立つことすら叶わない状態からのスタート。言葉をうまく発することができないもどかしさ、意図したように動かない手足。強い苛立ちと絶望感が佳那を襲うことも珍しくなかった。
その傍らには、常に夫の姿があった。言葉にならない声に耳を傾け、歩行訓練では体を支え、些細な変化を共に喜んだ。焦る彼女を優しくなだめ、時には励ましながら、一歩一歩前へと進めた。リハビリ施設の関係者は「二人の間には言葉を超えた深い理解があった」と証言している。