著名人が病を公表し、啓発活動につなげるケースは珍しくない。しかし、本田圭佑は一貫してメディアの前で病状を詳細に語り明かすことはしなかった。そこにはプロフットボーラーとしての強い美学が存在していた。
ヨーロッパのシビアな移籍市場において、慢性疾患を抱えているという情報は契約交渉や移籍金評価に直結するリスクをはらむ。それ以上に、「病気を言い訳にして惨めなプレーを見せたくない」という本人の強い自尊心が働いていたことは明白だ。同情を買うのではなく、結果で批判をねじ伏せる。周囲の喧騒をよそに、彼はただ淡々と自らのコンディション調整に全力を注ぎ込んだ。