二人の闘いは、フィギュアスケートのルールそのものの進化の歴史でもあった。果敢にトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)に挑み続けた浅田は、技術の限界を押し広げるパイオニアだった。対照的に、キムヨナは教科書通りの完璧なエッジワークと、圧倒的なスピードから繰り出される3回転-3回転のコンビネーションで、出来栄え点(GOE)を極限まで引き出す戦術をとった。
この「難度」と「完成度」の対立は、現在の採点システムの骨格を作ったと言っても過言ではない。ジャンプの回転数だけでは測れない「プログラムの完成度」の価値を、彼女たちは身をもって証明した。現在のルールが芸術性を軽視しがちだと批判されるたび、彼女たちのプログラムがいかに調和のとれたものであったかが、改めて浮き彫りになる。