日本における単独行の美学は、決して昨日今日生まれたものではない。かつて沢木耕太郎が紡ぎ出した旅の金字塔は、若者たちに「ひとりで風を切って歩くこと」の美しさを教えた。その精神的な系譜は、現代のポップカルチャーにも色濃く受け継がれている。
ドラマ『ソロ活女子のすすめ』で主演の江口のりこが魅せる軽やかな佇まいは、周囲の評価に惑わされず己の欲望に素直になることの快感を提示した。また、孤独のグルメが証明したように、「一人で飯を食う」行為は孤立ではなく、食覚と向き合う究極の自由時間だ。メディアが提示する魅力的な「おひとりさま」像は、私たちの旅に対する心理的ハードルを劇的に下げてくれた。