「大切なものは目に見えない」という言葉は、物語の第21章においてキツネが王子さまへ別れの贈り物として伝えた言葉です。「大切なものは目に見えない 誰の言葉なのか」という疑問に対しては、作中の登場キャラクターであるキツネのセリフであり、著者であるサン=テグジュペリ自身の人生観が色濃く投影されたメッセージであると整理できます。
砂漠に不時着した操縦士の「ぼく」に自らの旅路を語る王子さまは、地球に降り立つ前、自分の小さな小惑星(B612)に残してきた1本の「バラ」に心を痛めていました。わがままで見栄っ張りなバラに嫌気がさして星を飛び出したものの、地球の庭園で5000本もの同じバラが咲き誇っている光景を目撃し、「自分のバラは世界に一つだけの特別な花ではなかった」と絶望して草の上に倒れ泣き伏してしまいます。
そこに現れたのがキツネでした。キツネは王子さまに対して「飼いならす(apprivoiser:絆を結ぶ、関係性をつくる)」ことの意味を説き、時間をかけてお互いにとってかけがえのない存在になるプロセスを教えます。そして、再び旅立とうとする王子さまに対し、キツネは次のように語りかけました。
「さようなら。心で見なくちゃものごとはよく見えない。大切なものは目に見えないんだ」
この名言は、王子さまが自らの星に咲くバラへの本当の愛情に気づき、主体的な責任を受け入れるための決定的な転換点となったのです。