「高カロリーで太る」という長年の偏見は、近年の臨床栄養学の知見によって大きく書き換えられました。ナチュラルチーズは、現代人のライフスタイルにおいて極めて優秀な「機能性凝縮フード」としての側面を持っています。
まず注目すべきは、圧倒的な低糖質と高タンパク質の両立です。製造の過程で乳糖(ラクトース)の大部分がホエイ側へ排出され、さらに残った乳糖も乳酸菌が分解・消費するため、熟成タイプのナチュラルチーズには糖質がほとんど含まれていません。血糖値の急上昇(スパイク)を招くことなく、筋肉や血管の材料となる良質なタンパク質を即座に補給できるため、ケトジェニックダイエットや糖質制限を実践する人にとって理想的な食材です。
第二の強みはカルシウムの吸収効率です。牛乳を濃縮して作られるため、ハードチーズ数切れで牛乳1本分に匹敵するカルシウムを摂取できます。しかも、タンパク質が分解される過程で生成される「カゼイン・ホスホ・ペプチド(CPP)」の働きにより、植物性食品に比べて腸管内でのカルシウム吸収率が格段に高いことが確認されています。
さらに「生きたままの乳酸菌」によるプロバイオティクス効果も無視できません。ナチュラルチーズに含まれる乳酸菌は、チーズの脂肪分とタンパク質のマトリクスに保護されているため、ヨーグルトの菌と比較しても胃酸に対する耐性が高く、生きたまま腸に届きやすいという研究結果が報告されています。
ただし、盲点となるリスクも存在します。それは「飽和脂肪酸と塩分の過剰摂取」です。どれほど低糖質であっても、100g食べれば300〜400kcal以上のエネルギーを摂取することになります。良質な栄養源だからと際限なく食べるのではなく、1日あたりの摂取量を20〜40g程度にコントロールすることが、健康効果を最大化する絶対条件です。