歌舞伎の見栄とは?なぜ止まるのか驚きの演出効果と種類・歴史を解剖

歌舞伎の見栄とは?なぜ止まるのか驚きの演出効果と種類・歴史を解剖

歌舞伎の見栄とは?なぜ止まるのか驚きの演出効果と種類・歴史を解剖の詳細について、専門知識を取りまとめてご紹介します。

歌舞伎の見得には、役柄の性格、演じる演目の世界観、そして各家系の伝承によって多彩なバリエーションが存在します。その中でも特に重要とされるのが、荒事の精華である「元禄見得」と「不動見得」です。

元禄見得と不動見得の違いを端的に言えば、「動的で外向きの力強さ」を表すか、「静的で内面に秘めた神仏の不動の威厳」を表すかにあります。元禄見得は右手を水平に力強く伸ばし、左手を高く掲げて片足を踏み出すダイナミックな構えで、歌舞伎十八番『暫(しばらく)』の主人公・鎌倉権五郎が見せる代表的な型です。一方の不動見得は、成田山の本尊である不動明王を模し、右手に利剣、左手に羂索(けんさく=縄)を持つ姿をシンボライズした、威厳と気品に満ちた静寂の見得です。

見得の名称特徴・ポーズの構造代表的な演目・登場人物演出意図・鑑賞ポイント元禄見得(げんろくみえ)右手を横に伸ばし左手を高く掲げ、腰を深く落として片足を踏み出す。『暫』鎌倉権五郎
『車引』梅王丸荒事の極致。圧倒的な若々しさと超人的エネルギーの爆発を表現。不動見得(ふどうみえ)不動明王の立像を模し、右手に剣、左手に縄を持つ姿を具現化する静の構え。『勧進帳』弁慶
『鳴神』鳴神上人内面に宿る圧倒的な精神力や神聖な怒りを表し、場を制圧する。石川五右衛門の見得(天地人の見得)山門の舞台上で大見得を切り、キセルをくわえながら眼下の景色を睥睨する。『楼門五三桐』石川五右衛門天下の大泥棒のスケール感を絵画的な美しさ(絵面の見得)で見せる。団七見得(だんしちみえ)片肌を脱ぎ、泥にまみれながら刀を構えて葛藤と殺気の混ざった姿勢をとる。『夏祭浪花鑑』団七九郎兵衛世話物特有の生々しい人間ドラマと肉体美、悲劇性の際立たせ。睨み(にらみ)両目を見開き、片目を中央、もう片目を斜め上方(寄り目)に焦点を合わす。成田屋(市川團十郎家)の襲名・寿式三番叟など無病息災・厄除けのご利益があるとされる、歌舞伎界随一の呪術的秘技。

これらの基本形のほかにも、複数の役者が揃って一枚の錦絵のように完成された構図を作る「絵面(えずら)の見得」や、大立ち回りの最中に敵を威圧する「柱巻きの見得」など、状況に応じた多様な型が継承されています。

斉藤 蓮
著者

斉藤 蓮

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。