インターネットの検索窓や知恵袋などで度々見受けられるのが、「アシタカの声優は途中で交代したのか?」という疑問や噂です。この疑惑について公式データおよび制作記録を照合したところ、『もののけ姫』本編においてアシタカ役の声優が交代したという事実は一切存在しません。
では、なぜこのような交代説がネット上で囁かれるようになったのでしょうか。調査の結果、いくつかの決定的な誤認要因が重なっていることが判明しました。
第1の要因は、関連メディア展開やゲーム等での別キャスト起用です。ジブリ映画本編の音声は門外不出の扱いを受けることが多く、他社ゲームや外部タイアップ企画、あるいは関連の二次コンテンツにおいて、許諾や契約の関係から本編音声がそのまま使われないケースがありました。それらの断片的なボイスを耳にした一部のファンが「本編の声優が変わったのではないか」と誤認した経緯があります。
第2の要因は、海外舞台化や朗読プロジェクトによる混同です。イギリスの劇団「Whole Hog Theatre」が制作した舞台版『Princess Mononoke〜もののけ姫〜』など、別フォーマットによる公演では当然ながら別の舞台俳優がアシタカ役を演じています。これら舞台化のニュースがSNSのまとめ記事やタイムラインで拡散される過程で、主語が脱落し「映画の声優交代」と曲解された側面が否めません。
さらに、1997年の劇場公開から現在に至るまで、日本テレビ「金曜ロードショー」等で十数回にわたり再放送されてきたことで、視聴者の側の「耳の記憶の変化」や音響リマスターによる質感の違いが、根拠のない交代説を助長したと考えられます。アシタカは最初から最後まで、松田洋治氏の単独名演です。