広島が日本のポピュラー音楽界に遺してきた足跡は、他の追随を許さないほど強烈です。その源流には、矢沢永吉(広島市南区仁保出身)が切り拓いた「成り上がり」のロックスピリットが存在しますが、その遺伝子は時代を超えて多彩な形で受け継がれています。
ロックと俳優業の双方で唯一無二のダンディズムを体現する吉川晃司は、中高一貫の私立名門校・修道中学校・修道高校の出身です。在学中は水球で世界ジュニア選手権の日本代表に選出され、最年少で日本代表合宿に参加するほどのトップアスリートでした。高校中退後に渡辺プロダクションへ直談判の手紙を送りデビューを勝ち取った伝説的なエピソードは、彼の規格外の行動力を物語っています。2026年現在も、骨太なアクションと圧倒的なボーカルで観客を圧倒し続ける姿は、まさに広島が生んだ孤高のヒーローと言えます。
対照的に、自然体かつマイペースなスタンスで音楽ファンの信望を集めるのが、広島皆実高校出身の奥田民生です。1987年にUNICORNとしてデビューして以降、日本のロックシーンに革新的なポップセンスと「肩の力の抜けた美学」を提示し続けてきました。2004年に旧広島市民球場で開催された史上初の弾き語り単独ライブ「ひとり股旅」は、地元への深い愛着と音楽家としての矜持が融合した伝説の夜として今なお語り継がれています。
そして、21世紀のダンス&テクノポップカルチャーを牽引してきたPerfume(あ〜ちゃん、かしゆか、のっち)の存在を外すことはできません。3人が出会ったのは、芸能界屈指の名門育成機関として知られる「アクターズスクール広島(ASH)」。1期生として過酷なレッスンに明け暮れ、サンフレッチェ広島の試合前広場や亀田公園などでチラシ配りを自ら行っていた下積み時代は広く知られています。上京後もブレイクまで長い時間を要しましたが、ステージ上での完璧なシンクロ率と、MCで炸裂する親しみやすい広島弁のギャップは、今や国内外を熱狂させる唯一無二の武器となっています。