インターネット上の議論では、「大森元貴は地声が高いだけ」「裏声を使っているから高音が出せる」といった単純化された見解が散見されます。しかし、これはボーカル技術の構造を見誤った典型的な誤解です。
プロのボイストレーナーや音響分析の専門家が指摘する大森元貴の真骨頂は、「チェストボイス(胸声)」「ミックスボイス(中音域)」「ヘッドボイス(頭声)」「ファルセット(息の混ざった裏声)」を完全に統一された1本の声として操る能力にあります。
音響学的に見ると、彼が高音を力強く発声している際、喉を完全に閉じる「張り上げ(プッシュ)」は行われていません。声帯の前方だけを薄く接触させ、鼻腔と軟口蓋の空間に響きを当てることで、「聴感上は力強い地声に聴こえながら、物理的には負担の少ないミックスボイス」を成立させています。だからこそ、3時間近い激しいスタジアムライブでも声が枯れることなく、CD音源以上のクオリティを維持できるのです。