カメノテに関して「食べる危険」以上に深刻視されているのが、「採る際の物理的・法的危険」です。磯遊びの延長感覚で岩場に入り、命を落としかけたり警察・海上保安庁に検挙されたりするトラブルが相次いでいます。
物理的なリスクとして、カメノテは潮通しが良く波が強く打ち寄せる「潮間帯(波打ち際の岩礁)」に密集します。採取作業はノミやマイナスドライバーを使って岩から剥がすため、視線が足元や手元に一点集中しがちです。その隙に「一発大波(セットと呼ばれる周期的な高波)」にさらわれ、海へ引きずり込まれる水難事故が毎年のように発生しています。
また、鋭利な貝殻やフジツボで手足を深く切る怪我や、濡れた海藻で滑って頭部を強打する転落リスクも非常に高いため、軽装での採取は自殺行為と言えます。
一方、見逃せないのが漁業権(密漁問題)です。漁業法において、カメノテが「第1種共同漁業権」の対象魚種に指定されている地域では、一般人が無許可で採取すると密漁として「漁業権侵害罪(100万円以下の罰金)」に問われる可能性があります。
指定の有無は各都道府県の漁業調整規則や管轄漁協によって大きく異なります。例えば、同じ県内でも「A地区の磯は対象外だが、隣のB地区は指定魚種」というケースが珍しくありません。「誰でも採れる磯の雑草のようなもの」と思い込まず、採取前に水産庁や地元漁協の告示を必ず確認するコンプライアンス意識が不可欠です。