日本のアニメソング史において、最初の巨大な地殻変動を起こした曲をひとつ挙げるなら、それは間違いなく「オバQ音頭」だ。作詞は東京ムービー企画部、作曲は名匠・広瀬健次郎。1966年にリリースされるや否や、レコードの売上は瞬く間に100万枚を突破した。現在のような緻密なマーケティング戦略が存在しない時代に、この数字がどれほど規格外であったかは想像に難くない。
夏祭りの盆踊り会場にアニメのキャラクターソングが流れ、浴衣姿の老若男女が一斉に同じ振付で踊り狂う。そんな現代では当たり前となった光景の原風景を切り拓いたのが、まさにこの曲だった。日本コロムビアはこの爆発的ヒットによって、子供向けレコードが莫大な商業的価値を持つ未開拓の鉱脈であることを知る。民謡特有の土着的なノリと、底抜けに明るいキャラクターの個性が融合したリズムは、日本人のDNAにダイレクトに訴求する破壊力を持っていた。