昭和から平成にかけて、日本の食卓に本格中華の技術を届けたメディアの代表格がNHKの長寿番組『きょうの料理』だった。番組内でプロの料理人が披露する「叩ききゅうりの和え物」は、当時はまだ珍しかった本格調味料を日本の家庭に普及させる大きな役割を果たした。
時代は令和へ移り、レシピの伝承の場はテレビからYouTubeなどの動画プラットフォームへと爆発的に拡大した。料理インフルエンサーや現役の中華料理人が競うように自慢のレシピを投稿し、「洗って、叩いて、和えるだけ」の短尺動画が数百万回再生を記録している。
メディアの形が変わっても、伝わる技術の根底にあるものは変わらない。プロの知識が即座に可視化され、誰もが手軽に本格的な味にアクセスできる環境が、四川テイストの人気の火付け役となっている。