現在、夫婦の間には二人の息子(長男・陽喜くん、次男・夏幹くん)が誕生している。息子たちが成長し、舞台への第一歩を踏み出す過程でも、沙織さんの手腕は見事に発揮された。
幼い子どもたちにとって、歌舞伎の稽古は決して生易しいものではない。正座の作法から発声、独特の所作まで、厳しい指導が続く。沙織さんは母として優しく抱きしめながらも、役者の卵としての自覚を育むよう厳しさと愛情のバランスを保ち続けた。
歌舞伎座の舞台でお目見えを果たし、観客から万雷の拍手を浴びる息子たちの姿を、花道の脇や客席の後方から見つめる沙織さんの瞳には、安堵と誇らしさが滲んでいた。伝統芸能の血脈を次代へと繋ぐ役割を、彼女は確かに果たしている。