近年、駅構内のビジョンやポスターで一際存在感を放っているのが、謎の白い妖精のようなビジュアルを持つ「ジャムム」だ。日々のストレスや満員電車で疲れた現代人の心に「ジャム(引っかかり)」を作り、ほっと一息つかせるというコンセプトから生まれたこのマスコットキャラクター。その愛らしいビジュアルとは裏腹に、誕生の根底には緻密なブランディング戦略が隠されている。
東京地下鉄株式会社が狙ったのは、日常の移動空間を癒やしのコンテンツ体験の場に変えることだった。殺伐としがちな通勤時間において、ジャムムが投げかける脱力系のメッセージやアニメーションは、乗客の心理的ハードルを下げ、企業イメージの柔軟化に大きく貢献。グッズ展開やLINEスタンプの爆発的なヒットも含め、鉄道会社のキャラクタービジネスとして新たな金字塔を打ち立てた。