兵庫県淡路市多賀に鎮座する伊弉諾神宮が「日本最古の神社」と称される最大の根拠は、我国最古の歴史書である『古事記』および『日本書紀』の記述にあります。天地開闢において、伊弉諾尊と伊弉冉尊(いざなみのみこと)の二柱の神が最初に生み出した島が「淡道之穂之狭別島(あわじのほのさわけのしま)」、すなわち現在の淡路島とされています。
神話において、すべての国生みと神生みを終えた伊弉諾尊は、国家統治の大権を長女である天照大御神(あまてらすおおみかみ)に委譲し、自らは淡路の「多賀の幽宮」に隠退して余生を過ごされたと伝わります。その宮居の跡地に築かれた御陵を起源とする神社が、まさに現在の伊弉諾神宮です。
神代の昔から続く聖域として、延喜式神名帳では名神大社に列し、淡路国の一宮として皇室から庶民に至るまで篤い崇敬を受けてきました。境内に足を踏み入れた瞬間に広がる静謐な空気感は、古代の息吹を今に伝える神聖な歴史の重みそのものです。