ネット上やSNSでは長年、「僕は死にません」というセリフに何か古典的な文学作品などの「元ネタ」が存在するのではないかという議論が度々交わされてきました。しかし、公式インタビューや関係者の記録を総合すると、特定の小説などから引用されたものではなく、脚本家・野島伸司が達郎というキャラクターの愚直さを極限まで突き詰めて生み出した完全オリジナルであることが判明しています。
バブル崩壊直前の1991年当時、トレンディドラマといえば容姿端麗な美男美女による都会的でスマートな恋愛劇が主流でした。そのアンチテーゼとして、野島伸司は「ルックスもステータスも持たない不器用な男が、唯一差し出せる命そのものを使って愛を叫ぶ」という泥臭いリアリズムを投入したのです。
また、「単なる無謀なストーカー行為ではないか」という現代的な批判論争もしばしば見受けられますが、作中の文脈を精緻に追えば、達郎の行為は自己満足のためではなく、薫が抱える重度のPTSD(心的外傷後ストレス障害)を破壊するためのショック療法として描かれていたことがわかります。