ミュージアムに足を踏み入れると、すり鉢状の広陵に点在する赤・青・黄・白の鮮やかなパーツが目に飛び込んできます。新宮氏の作品一覧のなかでも、本ミュージアムを象徴する作品群には際立った特徴があります。
まず圧倒的な存在感を放つのが、メインモニュメントともいえる「里山風車」です。水辺と緑の境界に設置され、わずかなそよ風でも大きな翼がしなやかに回転します。水面に反射する光と風車が描く軌道は、時間帯によってまったく異なる美しさを生み出します。さらに、繊細なバランスで揺らめく「星の木」や「時を刻む翼」など、空・雲・芝生を背景にゆっくりと傾く彫刻の数々は、眺めているだけで日常のストレスをリセットしてくれます。
また、新宮晋氏は造形作家であると同時に、世界的な絵本作家としても高い評価を受けています。ロングセラー絵本『風の旅人』や『いちご』、『小さなペンギン チョコ』など、新宮氏が生み出してきた物語の根底にあるのは「地球という星の美しさと命のつながり」です。ミュージアムの彫刻群は、絵本の中に描かれた詩的な世界観をそのまま三次元の現実世界に具現化した空間といえます。敷地内の芝生に腰を下ろし、絵本のページをめくるように作品の動きを追う鑑賞スタイルは、ここならではの贅沢な体験です。
さらに、有馬富士公園の円形劇場や風のミュージアム周辺では、定期的に野外コンサートやアートワークショップなどのイベントが開催されています。現代音楽や舞踊と風の彫刻がコラボレーションする舞台芸術は、国内外から熱狂的な支持を集めています。