館内に足を踏み入れた途端、香ばしい甘辛い香りが鼻腔をくすぐる。玉村宿の最大の目玉といえば、群馬県産の高品質な肉を惜しみなく使ったオリジナルメニューの数々だ。なかでも食通たちがこぞって目指すのが、名物「軍配もつ煮」である。
じっくりと煮込まれた上州豚のもつは、驚くほど柔らかく臭みが一切ない。コク深い味噌ベースのスープが絡み合い、一度口に運べば箸が止まらなくなる逸品だ。肉の加工から販売までを一貫して手がける体制は、農家の所得向上とブランド化を両立する6次産業化の理想形でもある。ドライブグルメを目的に遠方から車を走らせてくるリピーターが後を絶たないのも頷ける。