ネット上のQ&Aサイトやビジネスコミュニティでは、「仕事よりプライベートを優先するのは甘えなのか」「出世レースから降りた人間は惨めな末路を辿るのか」という問いが頻繁に交わされています。しかし、現場の取材で見えてきたのは、ネットの極端な言説とは大きく異なる客観的現実です。
かつて語られた「出世を諦めた人の末路」という言説は、年功序列と終身雇用が機能していた時代の脅し文句に近い性質を持っています。責任あるポジションを拒否して定時退社を貫く社員に対する定時退社に対するネットの反応や周囲の本音を整理すると、必ずしも否定的な意見ばかりではありません。
「勤務時間内に期待された成果をきっちり出しているなら、定時で帰ろうが有休を取ろうが全く問題ない」「むしろダラダラ残業して残業代を稼ぐ社員より好感が持てる」という声が、上司層・同僚層の双方から6割以上を占めています。問題視されるのは「プライベートを優先すること」そのものではなく、「自分の仕事を周囲に丸投げして帰る無責任さ」です。要するに、日々の業務品質さえ担保されていれば、プライベート優先の生き方が職場で孤立を招くリスクは極めて低いと言えます。