同調圧力に苦しむ日本社会の真相|職場で潰されない脱出術と心理学

同調圧力に苦しむ日本社会の真相|職場で潰されない脱出術と心理学

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「自分だけは客観的に判断できる」と考える人ほど、集団心理の罠に足元をすくわれます。心理学史上に残る古典的研究であるアッシュの同調実験(1951年、ソロモン・アッシュ)は、人間がいかに脆く他者の意見に屈するかを白日のもとに晒しました。

実験内容は明快です。被験者1名に対し、7名のサクラを配置。提示された基準線と同じ長さの線を3本の比較線から選ぶという、誰が見ても間違えようのない平易な視覚課題を与えます。ところが、サクラ全員が示し合わせて明白に誤った選択肢を堂々と答えると、被験者の約75%が少なくとも1回は集団の誤った回答に同調し、全体の回答の約37%で多数派の誤謬に従う結果となりました。事後インタビューで被験者たちは「自分の目が狂ったと思った」「場を壊すのが怖かった」と告白しています。

この個人の同調が組織全体に波及したとき、破滅的な結末をもたらすのが集団浅慮(グループシンク)です。社会心理学者アービング・ジャニスが提唱したこの概念は、凝集性の高い集団において批判的思考や異論が封殺され、客観的に見て極めて不合理で危険な決定が全員一致で下される現象を指します。

近年の日本企業で相次いだ検査データ不正改ざん事件や、ビッグモーター事件に代表される組織ぐるみの不正行為の構造を検証すると、例外なくこの集団浅慮が影を落としています。上層部の意向に誰も異を唱えられず、「おかしい」と気づいている現場担当者も同調圧力によって沈黙を強いられる。その結果、組織は自浄作用を完全に失い、破局へと突き進むのです。

山本 拓海
著者

山本 拓海

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。