愛知県西尾市の一色産うなぎが全国的に高い評価を得ている背景には、徹底した自然環境の活用と伝統的な養殖技術が存在します。
日本国内で流通する養殖うなぎの多くは地下水を利用して育てられますが、三河一色うなぎは矢作川から引き込んだ清らかな表流水(河川水)を直接養殖池に注ぎ込んで育てられます。天然の河川に近い水質と水温環境の中で育つことで、うなぎ特有の泥臭さが抜け、皮が非常に薄く、身全体にきめ細やかな脂が均一に乗るという明確な特徴が生まれます。
この品質の高さは、2010年代に農林水産省の地理的表示保護制度(GI)等と並び、特許庁の「地域団体商標」として登録されたことでも証明されています。
また、現地で味わう際のもう一つの決定的な違いが「焼き方」です。
関東風の調理法では、背開きにしたうなぎを白焼きにした後、一度しっかりと「蒸し」を入れてからタレをつけて本焼きを行いますが、一色町をはじめとする三河エリアの主流は蒸さない「関西風(地焼き)」です。腹開きにした新鮮なうなぎを、強火の備長炭で皮目から一気に焼き上げます。
蒸しを入れない地焼きは、うなぎ本来の皮の薄さと良質な脂があって初めて成立する職人技です。皮目はパリッと香ばしく、噛み締めると閉じ込められた上質な脂の旨味がジュワッと広がる食感は、本場の一色産うなぎだからこそ到達できる究極の味わいです。