「男を翻弄する女性に惹かれてしまうのは一体なぜなのか」――この永遠の問いに対する答えは、男性心理の深層に眠る「追いかけたい本能」と、脳科学的な報酬系のメカニズムに隠されています。
All Aboutで恋愛コラムを執筆する西郷理恵子氏の分析によると、古今東西の男性作家が描く名作恋愛小説には、例外なく男性を強烈に振り回す奔放なヒロインが登場します。特に10代後半から20代、さらには社会的責任を背負い始めた30代以降の男性であっても、どこかで「女性に手のひらで転がされたい」という潜在的なマゾヒズムや非日常への憧れを抱えているケースは珍しくありません。
心理学的に見ると、この現象は「間欠強化(Variable Ratio Schedule)」で明快に説明できます。毎回必ずエサが出るボタンよりも、いつエサが出るか分からないボタンのほうを動物は夢中で押し続けるというギャンブル依存と同じ法則です。常に優しく尽くしてくれる女性に対しては「手に入った安心感」から飽きが生じやすい一方、連絡が2日返ってこなかった後に突然「今すぐ会いたい」と無邪気に甘えてくる女性に対しては、ドーパミンが過剰に分泌されます。「次はいつ構ってもらえるのか」という焦燥感が、そのまま恋愛感情の強さと錯覚されていくのです。
さらに、未完了の事柄ほど記憶に残りやすい「ツァイガルニク効果」も強力に働きます。デートの途中で「明日早いからもう帰るね」とあっさり切り上げられたり、LINEの会話が盛り上がっている最中に既読スルーされたりすることで、男性の頭の中は「彼女は何を考えているのか?」という疑問で埋め尽くされます。結果として、仕事中も入浴中も彼女のことばかりを考え続けることになり、脳内で「こんなに考えているということは、自分は彼女を猛烈に愛しているのだ」という認知の歪み(認知的不協和の解消)が完成します。