物語が最終章へ突入した2026年現在の視座からローグタウンの処刑台を振り返ると、あの場面は単なる「ロジャーとの類似性」を超え、ゴムゴムの実の真の名である「動物系(ゾオン)ヒトヒトの実 幻獣種 モデル“ニカ”」にまつわる最大の原初的伏線であったことが浮き彫りになります。
エッグヘッド編やエルバフ編で明かされた神話において、太陽の神ニカは「人を笑わせ、苦悩から解放し、どこまでも自由に戦う戦士」と定義されています。ニカの覚醒時、ルフィは胸が高鳴る「解放のドラム(ドンドットット)」のリズムとともに、理由もなく大笑いしながら戦場を駆け巡りました。
ローグタウンの処刑台でルフィが見せた満面の笑顔は、悪魔の実の覚醒前でありながら、ルフィの魂そのものがすでに「ニカの波長」と完全に同調していた動かぬ証拠です。恐怖と死の象徴である処刑台の上において、見物人や敵であるバギー、そして海軍のスモーカーにまで「笑い」という圧倒的な感情の揺さぶりを与えたあの瞬間、ルフィは無意識のうちに人々の固定観念を解放するニカの資質を行使していました。20年以上前に描かれた第99話の笑顔が、最新章における「最高地点(ギア5)」の爆笑へと一本の線で繋がる構成美は、長期連載漫画の歴史においても類を見ない驚嘆すべき伏線回収と言えます。