「イベリコ豚=どんぐりを食べている」というイメージが定着していますが、これには明確な生態学的・栄養学的な理由が存在します。
スペイン西部に広がる「デエサ(Dehesa)」と呼ばれる樫(オーク)の森林地帯には、秋から冬にかけて大量のどんぐりが実ります。イベリコ豚はこの時期、1日に約7〜10kgものどんぐりと自生するハーブを摂取しながら広大な敷地を駆け巡ります。どんぐりは炭水化物と脂質を豊富に含み、豚の体内で良質な脂へと変換されます。
特にどんぐりの主成分である油分には、オリーブオイルの主成分でもある「オレイン酸(不飽和脂肪酸)」が極めて多く含まれています。どんぐりをたっぷり食べて仕上がったイベリコ豚の脂身は、オレイン酸含有率が50%を超えることも珍しくありません。この特異な肉質から、スペイン現地では敬意を込めて「歩くオリーブの木(Olivo con patas)」と称されています。