献立がパンからご飯へと変わった「米飯給食」の日であっても、トレーの上には必ず牛乳が鎮座しています。この光景が全国で定着している最大の根拠は、文部科学省が定める学校給食法に基づく「学校給食摂取基準」にあります。
成長期にある児童・生徒は、骨の形成に不可欠なカルシウムを成人以上に必要とします。文部科学省の基準では、小中学校の給食1食あたりで「1日の推奨摂取量の約半分」に相当する約300mg〜450mg(学年による)のカルシウムを摂取させることが求められています。一般的な給食用牛乳(200ml)1本に含まれるカルシウムは約220mgであり、この牛乳1本を飲むだけで、給食1食に課されたカルシウム基準の半分以上を瞬時にクリアできる計算です。
「牛乳を使わずに、小魚や大豆、海藻、緑黄色野菜で補えばいいのではないか」という議論は昔から繰り返されてきました。しかし、学校現場の管理栄養士や関係者が口を揃えるのは「圧倒的なコストパフォーマンスと摂取効率の壁」です。200mlあたり約50円〜60円という安価な牛乳と同等のカルシウムを小松菜やちりめんじゃこで摂取しようとした場合、食材費は数倍に跳ね上がり、1食あたりの給食費の予算上限を即座に突破してしまいます。
さらに、野菜や海草類に含まれる植物性カルシウムは、牛乳に含まれる乳カルシウムに比べて体内の吸収率が約半分程度にとどまります。よつ葉乳業をはじめとする乳業団体の公開データでも、牛乳のカルシウム吸収率は約40%と、小魚(約30%)や野菜(約19%)を大きく凌駕しています。胃袋の容量が限られる子どもたちに、バケツ一杯分もの小松菜や大量の煮干しを毎日完食させることは現実的に不可能です。すなわち、給食牛乳が毎日出る理由は「栄養目標値の達成」「吸収率の高さ」「限られた給食予算」という3条件を同時に満たす唯一無二の食材だからにほかなりません。