ネット上の言説やオールドファンの間で今なお散見される誤解が、「日本人選手の欧州移籍は、ユニフォーム販売や日本企業スポンサー獲得のための商業的枠に過ぎない」という冷ややかな見立てです。しかし、この言説は現代の欧州クラブ経営における財務構造を無視した時代遅れの虚構に過ぎません。
欧州サッカー連盟(UEFA)のクラブ財務分析や監査法人デロイトのフットボール・マネー・リーグの統計を見れば明らかな通り、トップクラブの収益構造の大部分は「放映権料」「UEFA主催大会の賞金」「マッチデー収入(チケット・ホスピタリティ)」で占められています。選手個人に紐づくユニフォーム販売利益のうち、クラブ側に落ちるマージンは販売額の10〜15%程度に留まり、数千万ユーロの移籍金や巨額年俸を回収する手段としては全く成立しません。
さらに、欧州5大リーグにおける外国人登録枠(EU外選手枠)の制限は極めて厳格です。1枠の価値がクラブの年間成績を左右する環境下で、ピッチ上で戦力にならない選手をスポンサー目的で獲得・起用する余裕など、名門クラブの指揮官には1ミリも残されていません。ピッチに立つすべての日本人サッカー選手海外組は、完全な実力主義のスクリーニングを突破してそのポジションを勝ち取っています。