メガヒットの熱狂は音楽業界にとどまらず、映画界をも巻き込みます。1969年2月、楽曲の勢いそのままに松竹が製作・公開したのが、グループ主演の映画『恋の季節』(井上梅次監督)でした。
メガホンを取った井上梅次監督は、日活や松竹で数々の音楽映画を手掛けてきたエンターテインメントの巨匠。物語は、今陽子さんが演じる歌手志望の少女が、ザ・キラーズのメンバーたちと出会い、様々な試練を乗り越えながらステージで成功を掴んでいくサクセスストーリーです。共演には森次晃嗣さんや奈美悦子さんらが名を連ね、当時のきらびやかなモダンカルチャーがスクリーンいっぱいに散りばめられました。
映画館には連日若いファンが詰めかけ、主題歌『恋の季節』が劇場の大音響で流れると観客席が一体となって手拍子を打つという、現在の「応援上映」を先取りしたような光景が繰り広げられたといいます。レコードのヒットから数カ月で長編劇映画を完成させ、全国公開してさらなるレコードセールスへと還元させる――。ピンキーとキラーズが巻き起こしたムーブメントは、日本のエンタメ界における初期のメディアミックス成功事例としても記憶されるべき出来事でした。