美容室の現場において、縮毛矯正とカラーの順番をどう設定すべきかという問いに対する答えは、毛髪化学の観点から明白です。特別な事情がない限り、「縮毛矯正を先に行い、その後にカラーを入れる」というのが揺るぎない鉄則です。
なぜ順番を逆にしてはならないのでしょうか。その理由は、それぞれの薬剤が毛髪内部に引き起こす化学反応のメカニズムにあります。先にヘアカラーを施した直後の髪は、人工の酸化染料がコルテックス(毛髪内部のタンパク質組織)に定着した状態です。そこへ後から縮毛矯正の1剤(アルカリ性の還元剤)を塗布すると、アルカリによってキューティクルが過剰に開き、せっかく定着した色素が薬剤とともに毛髪の外へ一気に流出してしまいます。
さらに深刻なのは、還元剤が染料そのものを化学的に破壊・脱色してしまう点です。アッシュやグレージュといった繊細な寒色系カラーは一瞬でかき消され、赤みや黄ばみがむき出しの濁ったトーンへ退色します。これがサロン現場で最も恐れられる「縮毛矯正 カラー 失敗 色落ち」の典型的な正体です。
一方、縮毛矯正を先に施した場合、髪内部のシスチン結合(S-S結合)を切り離してアイロンの熱でストレートに整え、2剤で再結合させた後にカラーを行います。後から行うカラーの酸化剤(過酸化水素)によってストレートの結合がわずかに緩むリスクはゼロではありませんが、現代の薬剤処方であれば、色落ちで髪色が崩壊する被害に比べれば遥かにコントロールが可能です。仕上がりの美しさと持続性を考慮するならば、例外なく「縮毛矯正が先」を選択するのがプロフェッショナルの共通認識となっています。