「現在の姿」を語る上で欠かせないのが、劇的な変化を遂げたそのビジュアルです。艶やかな黒髪ショートと爽やかなスーツ姿で中高年層の心を掴んだ「演歌のプリンス」は、透き通るような白肌、中性的なメイク、そして時にロングヘアや華麗なドレスをまとう、神話的な美しさを湛えた存在へと変貌を遂げました。
ネット上では「激変」「別人のよう」といった驚きの声が上がり続けていますが、この変容は決して突発的な思いつきによるものではありません。決定的な転換点となったのは、2017年にリリースされたテレビアニメ『ドラゴンボール超』のオープニング主題歌『限界突破×サバイバー』でした。ロックフェス『SUMMER SONIC』のステージに黒のシースルー衣装とアイラインを引いた妖艶なメイクで登場し、ヘッドバンギングを披露した瞬間、氷川きよしの中に眠っていた「本質的なアーティスト魂」が爆発したのです。
当時の特番インタビューや手記において、本人は次のように語っています。
「小さい頃から、男の子らしさを強要されることに強い違和感を抱いて生きてきました。演歌界に入り、求められる『男らしい青年像』を完璧に演じることでファンの方に喜んでもらえる幸せは本物でしたが、同時に本当の自分を押し殺す痛みに悲鳴をあげていたのも事実です。『限界突破×サバイバー』を歌ったとき、初めて自分の皮膚と魂が完全に一致した感覚がありました」
年齢を重ね、40代後半となった現在のビジュアルは、単なる若作りやファッションではありません。周囲の期待に応え続けた前半生を清算し、「自らの肉体と性自認をありのままに慈しむ」という、深遠な自己解放のプロセスそのものが外見として立ち現れているのです。