英語圏においても、「常套手段」に相当する表現は複数存在し、込められたニュアンスに応じて明確に使い分けられています。直訳的に辞書を引くだけでは見落としがちな、英語表現の解像度を確認します。
第一に、悪意や小手先の罠を強調する場合は「old trick」や「stock tactic」が用いられます。
「That's an old trick of his.(それは彼のいつもの常套手段だ)」
この表現には、「手垢のついた古い手口であり、すでに見透かされている」という軽蔑の意味が強く含まれます。
第二に、ビジネスやスポーツの戦術、定番のアプローチを中立的に指す場合は「standard playbook」や「conventional method」が適しています。
「Applying price cuts is a standard playbook in this market.(この市場において値下げに踏み切るのは常套手段である)」
ビジネス英語において「trick」を使うと不正義のニュアンスが生じるため、戦略マニュアルを意味するplaybookへ言い換えるのがエグゼクティブ層の常識です。
第三に、警察報道や法医学の文脈で犯罪手口を指す学術用語としては、ラテン語由来の「modus operandi(略称:M.O.)」が世界標準です。犯罪者の行動様式や決まった手口を厳格に定義する際に頻出します。