ネット上のレビューで頻繁に目にするのが、「カバーをつけたらテレビのリモコンが反応しなくなった」「ボタンを強く押し込まないと効かない」という声です。この現象には、物理的・工学的な明確な理由が存在します。
第1の原因は、赤外線発光部(IRブラスター)の遮蔽です。多くの家電リモコンは先端の赤外線LEDから信号を送信しています。熱収縮フィルムの余剰部分が先端で重なって分厚くなったり、透明度の低いシリコン素材が発光部を直接覆うと、赤外線の直進性が阻害され、受信機側で信号を認識できなくなります。特に受光角の狭い機器では、少しのズレでも反応が鈍くなります。
第2の原因は、フィルムのテンションによるキーストロークの阻害です。ドライヤーでフィルムを収縮させすぎると、ボタン表面が強く押さえつけられ、遊び(クリアランス)が失われます。その結果、どのボタンを押しても隣接するキーが干渉したり、十分な押し込み深さが得られずに接点が接触しにくくなります。
これらのトラブルを防ぐためには、熱収縮フィルムを加工する際、先端の赤外線窓部分をあらかじめハサミで小さく切り抜くか、フィルムのシワが発光部に溜まらないよう裏面へ逃がす工夫が有効です。