この短時間睡眠のメカニズムを分子レベルで解き明かしたのが、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の神経科学研究チームだ。研究チームは、短時間睡眠でも健康を損なわない家系のDNA解析を行い、「DEC2」や「ADRB1」「NPSR1」といった特定の遺伝子変異を相次いで特定した。
これらの変異遺伝子を持つ人々は、短時間の睡眠であっても脳内の老廃物(アミロイドβなど)を急速に排出し、シナプスの修復を驚異的な効率で完結させることができる。つまり、彼らは「睡眠を我慢できる強靭な精神」を持っているのではなく、「短時間で標準的な8時間睡眠と同等のメンテナンスを完了できる超高効率な脳の構造」を生まれつき備えているのだ。遺伝子のバックボーンがないまま短時間睡眠を真似しても、脳内には排出しきれなかった老廃物が蓄積し続けるだけである。