トム・クルーズが自らの異変に気づいたのは、わずか7歳のときだった。周囲の子供たちが難なくこなす教科書の音読が、どうしてもできない。文字が紙の上で浮き上がったり、反転したりして見えたという。やがて彼は、学習障害(LD)の一種であるディスレクシアと診断されることになる。
当時の教育環境において、学習障害への理解は今ほど深くなかった。「努力が足りない」「怠けている」という無理解な視線、同級生からの心ないからかい。家庭環境の複雑さも重なり、12年間で15もの学校を転々とする生活を送った。文字を隠すように生きる日々。彼は自らのプライドを守るため、スポーツや身体表現の世界へと居場所を求めていった。